育児・保活データ集@中野

育児関連で調べたことや気になったことをメモします。リンクはなるべくアーカイブサイトに飛ぶようにしています。

入園選考についての不満を無料で弁護士に相談できる。

福祉オンブズマンという制度があるらしい。

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区の各種福祉サービスの提供や金銭の給付、施設入所等の措置など、区の福祉サービスの個別の適用に関する苦情について、福祉オンブズマン(福祉サービス苦情調整委員)に申し立てをすることができます。

弁護士や大学教授などの福祉オンブズマンが、申し立てを受けた苦情を公平な第三者の立場から調査・審査をし、その結果を申立人に回答します。

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https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11449459/www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/401500/d004280.html

2020.4現在では、以下の二名がオンブズマンになっている。
岩志 和一郎(早稲田大学法学部教授)
大島 やよい(弁護士)


相談対象となる、「福祉サービスの利用や決定された内容」には、もちろん保育園関係も含まれる。

例えば、過去には保育園関連にこんな相談事項がある。
読んでみると、いかにも起こりそうな身近な困りごとが多い。
(いずれも、過去の報告書に詳しく記載があるので興味のある方はどうぞ。)

保育園入園相談の際の案内が不適切であり、結果的に入園のチャンスを逃した。
(2015年)

4/1に認可外入園、5/1に職場復帰したが、認可外補助金が支払われず納得できない。
(2013年)

保育園でのおむつ替えが適正な頻度で行われていないのではないか。
(2010年)

入所決定通知に、第三者あての通知が紛れ込んでいた。個人情報の管理がずさんではないか。
(2010年)


相談の日程はほぼ毎週火曜日(日によって午前または午後)で、電話での相談も可能。前週の金曜日までにアポイントを取ればよいとのことなので、平日仕事でも少し時間をやりくりすれば相談はできそう。

https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11449459/www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/401500/d001821.html

(*基本、リンク切れを起こさないため、アーカイブサイトにリンクしていますが、相談日程など最新の情報は2020.4現在では以下)

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/401500/d001821.html

なお、自治体によって制度の名称がいろいろ違う。
H27年の委託調査で、総務省が一覧を作ってくれているので、
自分の自治体にこの制度があるか確認できる。
地方公共団体における公的オンブズマン制度の実態把握のための調査研究報告書

(PDFの15/113に一覧あり)
https://warp.da.ndl.go.jp/collections/NDL_WA_po_print/info:ndljp/pid/11453473/www.soumu.go.jp/main_content/NDL_WA_po_000423175.pdf

私も昔、区の保育園担当にひどい対応をされたことがある。
とある区議に相談したが、まるで役所の代理人のような、
木で鼻をくくったような回答をもらい非常に落胆した。
ある意味、彼らは行政マンと仲良しでないと商売ができない。
ので、本気で喧嘩したい向きにはお勧めできない。
(ただ、寝技のような解決を希望するならいいかもしれない)。

かといって個人が役所に喧嘩をしてもまず勝てない。
オンブズマンの解答を見る限り、腹オチする解決に至った事例というのは
残念ながら見当たらないが、かといって泣き寝入りするよりずっといい。
そういう場合にこのオンブズマンは一つの選択肢としてよいのではないか。

このほか、行政の用意する相談窓口がいろいろある。
(入園選考に関する苦情は対象外になる)上からお手軽な順番。

保育園「苦情相談窓口」

特に社会福祉法人の場合は、苦情相談窓口が設置されていることが多い。入園の説明書などに書いてあるはず。(社会福祉法人の場合は苦情解決指針を定めることが望ましいという通達がある(*1))。ただ、窓口は園長や主任保育士が担当していることが多く、客観的な調査を望む場合は向かないかもしれない。


東京都社会福祉協議会「福祉サービス運営適正化委員会」

https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11334707/www.tcsw.tvac.or.jp/activity/tekiseika

保育園や市区町村に相談してもらちが明かないときを想定している模様、ただこういう組織があるということを知っておくとよいと思う。「相談」と「苦情申し立て」があり、相談の段階であれば匿名でも可能。

中野区「民間福祉サービスの紛争調停制度」
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11449459/www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/401500/d001826.html


相談にかなり手間がかかりそうである。

またこの10年利用実績なしなので、
役所もかなり消極的な対応になるだろう。
三者を入れて本格的に調査を望む場合には向いているかもしれない。

東京都の福ナビにあった相談事例。主語がはっきりしないのだがおそらくこの調停委員会のことか…?保護者が望んだ解決(転園?)ではないかもしれないが、一定の納得には至った様子。
http://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/contents/kujou/manual/jirei2013_01.html


(おまけ)

中野区がオンブズマンを開始したのは、平成2年、全国でも川崎市とならんで初めての事例だった(*2)。川崎市オンブズマンは取扱件数が年に120件以上。中野区は10ちょっとにとどまっている川崎市は行政全般が取り扱い対象という違いがあるが)。
ちなみに、上掲の総務省の報告書では、オンブズマンH27年の調査段階で104自治体が導入とあり、必ずしもすべての自治体にあるわけではない。
このような制度がある中野区は非常に恵まれている。
入園選考その他ご不満のある向きは利用する価値はあると思う。


(*1)

「福祉サービスに関する苦情解決」関係 厚生労働省通知(平成29年3月7日))
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11402273/www.pref.okayama.jp/page/507287.html

(*2)
森 長秀
公的オンブズマン制度に関する一考察 : 一般型オンブズマンと福祉オンブズマンとの比較を踏まえて(法政論叢2002 年 38 巻 2 号 )

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalps/38/2/38_KJ00003722451/_pdf/-char/ja


なお、今回(他のもだけど)の記事も、法律の素人が2~3日の片手間の調査で調べた内容でまとめています。 実際の相談の際はリンク先サイトをよく御覧になってくださいませな。どなたかのお役に立ちますように…。